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2025.10.03

生き様が交錯する抗争に翻弄される運命を生演奏のジャズで表現。テーマ曲担当アーティストYHUへインタビュー。

生き様が交錯する抗争に翻弄される運命を生演奏のジャズで表現。テーマ曲担当アーティストYHUへインタビュー。

欲望、裏切り、――そして仁義。 摩天楼を舞台に合計23キャラクターの生き様が交錯する、 任侠ビジュアルノベルゲーム『ROAD59 -新時代任侠特区- 摩天楼モノクロ抗争』。

そのテーマ曲「INSANITYGRAY(インサニティグレイ)」は、近未来のサイバーパンクな街天海区を舞台に、望まぬ抗争に巻き込まれて極道の道に落ちていく主人公の宿命を、巧みなジャズとエレクトロニクスで表現するエモーショナルな一曲。

10月2日の楽曲サブスク配信開始に合わせて、作編曲、そしてサックス演奏を担当したYHUのインタビューを公開。曲に込めた思いを語ってもらった。

 

――『ROAD59』のテーマ曲のオファーを受けた時の率直な気持ちを教えてください。

僕が過去に作曲した楽曲を聴いてくださって、今回抜擢してくださったと聞きました。無我夢中で作ったアニメの主題歌が、今こうして次のストーリーとして紡がれることはうれしいですし、声をかけていただいて大変光栄です。

 

――『ROAD59』プロジェクトに対してどのような印象をお持ちですか?

今回お話をいただくまで、『ROAD59』について知らなかったのですが、企画書を読ませていただいた時に、自分が好きな要素がもりもりでうれしかったです。というのも、昔からサイバーパンクやSF、近未来という設定の映画が好きだったんです。天海区のビジュアルを見た時に街のネオンや巨大な建造物、空を飛ぶ車が走っていそうな要素が感じられて、まずそこに惹かれました。あとは仁侠映画も好きなので、『ROAD59』の主軸となる、春雲組や白狛狼組などの組織も気に入ったポイントですね。近未来×仁侠を合体させた作品って意外と聞いたことがないなと思ったので魅力的に感じました。あとは存在しない国道を走った先に摩天楼が現れる、というのも夢なのか現実なのかわからないというぶっ飛んだ設定でワクワクします。

 

――『ROAD59』の中で好きなキャラクターを教えてください。

楽曲制作時はまだゲームが完成していなくて、ROAD59の世界観を知るために舞台映像を見せていただいたのですが、八薙バクトがかっこいいと思いました。たぶん演じた君沢ユウキさんの演技力もあると思うのですが、一匹狼感があって、男として惚れちゃいました。

――ちなみに普段ゲームで遊ぶことはありますか?

小さい頃よく遊んでいました。家にプレイステーションがあって、特にアクションゲームが好きでした(笑)

音楽系のゲームは持ってはいませんでしたが、ゲームボーイの『リズム天国』でドラムだけ遊べるステージでめちゃくちゃ遊んでいた記憶があります。

 

――YHUさんは『ROAD59』以外にもアニメの曲など色々手掛けられていますが、今回のビジュアルノベルというジャンルのゲーム作品になります。特定の世界観の作品に楽曲を提供する際に心掛けていることはありますか?

まず、その作品の全体像を把握することです。例えば、それはどんな場所で起きている出来事なのか、空気や匂いを自分の中で想像するんです。昔作ったアニメの主題歌は、表面は爽やかな高校生だけど、闇の中に潜む殺人衝動を持っている。その中で禁断の恋愛模様があったり、そういう要素が詰め込まれた作品でした。だから原作の単行本を全部読んで、そこからようやく物語に潜む本当の闇や切ない思いが見えてきて、そのイメージを元にして表現しました。そんな風に、まずは自分自身がその作品に引き込まれてキャラに感情移入したり、同じ世界にいるイメージをする、自分ならこう戦うのにな、と考えたりして、とことんその作品を好きになってから音にしています。

 

――『ROAD59』の楽曲もそうような作り方になっているわけですね。

そうですね。今回もいただいた資料や舞台を見て、『ROAD59』とはこういう世界なんだ、という自分の中に取り込んで、改めてイメージを膨らませながら作曲しました。

 

――そうして完成した「INSANITYGRAY(インサニティグレイ)」という楽曲はどのような思いを込めて作ったのでしょう

 

闇の世界に生きる男たちって、個人的にはジャズ要素が合っているし、欠かせないと思っています。全体的にジャズのフィーリングを取り入れて、ダークな世界観を主軸に生きる道を選べなかった今回のゲームで主人公となる氷室ショウや、八薙バクトの葛藤する気持ちなど、そういう要素を交えてエモーショナルな雰囲気の楽曲になっています。

『ROAD59』の世界観はSFと極道といういわば対比になるような要素が入っていますが、今回テーマ曲として作った「INSANITYGRAY」でもジャズとエレクトロニクスの要素を入れることで、作品が持つ異なるもの同士がミクスチャーされている感じを音楽で表現しました。

 

――ジャズだけでなくエレクトロニクスも取り入れていると。

そうですね。例えばバンドだけで演奏していると、かっこいいジャズの演奏なのですが、中間部分でエレクトロニクスの要素を取り入れることにより、自分の中では近未来のSFの世界観を表現できたと思っています。

 

――今回の楽曲はサックス、ベース、ピアノ、ドラム、トランペットの生演奏で収録されたということですが、楽器の編成でこだわった部分はありますか?

今回の演奏のために集めたメンバーは、第一線で活躍するジャズミュージシャンや数々のメジャーアーティストを支えているスタジオミュージシャンなど、信頼できる良き仲間でチームを組みました。今回作曲した「INSANITYGRAY(インサニティグレイ)」はスピード感があるので演奏する難易度が高いのですが、このメンバーなら成し遂げられるなと思いました。

これは僕のイメージですが、曲の冒頭の部分がベースとドラムのみのグルーブで始まるんですけど、そこが『ROAD59』の世界観にある現実には実在しない国道59号線を駆け抜けているところ、そしてピアノが入ってくるところで東京湾に浮かぶ摩天楼が見えてくるというイメージのイントロに仕上がっています。その後サックス、トランペットのメロディーが入ってくるのですが、そこは何度も作り直して修正を加えて、ようやく納得できるものになりました。それは何故かというと、聴いてくれた人の耳に残る部分が一番最初に出てくるメロディーだなと思ったのでとにかくそこは大事に大事に作りました。

 

――今回の曲は難易度が高いということですが、やはりミュージシャンとしては常に難しいフレーズに挑戦したくなるものなのでしょうか?

ミュージシャンだからというよりは、自分が吹けるかどうかは別として、思い浮かんだ音が入ったら絶対かっこいい。だから難しくても迷わずそれを入れようと思うんです。どちらかというと、自分ができるテクニックより曲が良くなることを優先しています。

もう一つこの曲でこだわっている部分があるんですが、ベースに関して今回はエレキベースというポピュラーな楽器ではなく、アコースティックベースを起用しているんです。そこが曲の随所に出てくるベースパターンでエレクトリックベースだと表現できない部分なので注目してほしいですね。

あとは中間の壮大なセクションがあるのですが、そこにエレクトロニクスのシーケンスというシンセサイザーを取り入れることで、ただのハーフタイムビートのジャズではなくてハイパーポップなど最近は流行っている音楽の要素をミックスしています。僕は普段からあらゆる音楽を聴くので、自分が摂取した音楽を最高のバランスに調整してアウトプットしたものが今回の楽曲になっています。

 

――貴重なお話ありがとうございました!最後に、YHUさんの今後の展望などがあれば教えてください。

いま自分が主体となってオリジナル曲を演奏するバンドの活動をしているのですが、そのバンドで武道館まで行きたいというのが僕の中での目標です。

 

楽曲情報

INSANITYGRAY/YHU

作曲:Yu Hagiwara

編曲:Yu Hagiwara

Alto Saxophone / Tenor Saxophone / Programming:YHU

Trumpet :長田明宏

Piano:平手裕紀

Contrabass:高橋 陸

Drums:柴田 亮

 

配信情報

https://bmu.lnk.to/INSANITYGRAYwe

アーティスト情報

YHU(読み:ユウ)

Saxophone & Flute Player / comp.arr / Producer

1992年3月10日 日本人の父と香港人の母の間に誕生。2018年バンド"ALI"にYUとして加入し、サックス演奏の他、テレビアニメ『BEASTARS』の主題歌『Wild Side』(ALI)作曲・ブラスアレンジや、テレビアニメ『呪術廻戦』のエンディングテーマ『LOST IN PARADISE (feat.AKLO)』(ALI)編曲・ブラスアレンジなどを担当。

ソロ活動開始後もキタニタツヤ『キタニタツヤ Japan Tour “UNFADED BLUE (Re-colored)”』『次回予告』『まなざしは光』参加・ホーンアレンジなどで活躍。

作曲家名義はYu Hagiwara。

 

YHU official YouTube

 

写真:日高悠太(Arche.)

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